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2024.09/20 カオス混合の効果

樹脂のコンパウンディングを二軸混練機で行っている人は理解できないと思うが、ロール混練では非相溶系の組み合わせでも相溶が起きているような現象に遭遇する。

すなわち、ポリマー2成分の混練物のDSCを測定した時にTgが一つになる現象を観察できたりする。もちろんすべての組み合わせで起きるわけではないが、χが明らかに正となるような組み合わせで稀にロール混練では、そのような現象が起きる。

50年近く前に、樹脂とゴムのブレンドを研究していた時に、樹脂がゴムに溶け込んで行く現象に遭遇し、もしかと思いDSCを測定したところ、樹脂のDSCが喪失していた。

それから30年近く経ち、PPSと6ナイロンの混合物を混練するコンパウンド工場を3ケ月で建設しなければならない状況となり、この二成分を相溶できるラインを設計した。

世界初の連続式カオス混合ラインだが、ラインが完成し、PPSと6ナイロンを流したところ、透明な樹液が吐出された。ナイロン種をMXD6や12ナイロンに変更しても透明な樹液となった。

それぞれの試料についてDSCを測定してもTgは一つであり、相溶していることを確認できたのだが、ロール混練と同様の効果があるカオス混合ラインでPC/ABSを混練したところ、透明にはならず、微細組織の分散構造が観察された。

明らかに二軸混練機だけでは実現できないサイズの組織であり、カオス混合が高分子材料の混練レベルを高めることが確認された。

二軸混練機を用いてカオス混合を行うには、混練機の先にカオス混合装置を取り付けるだけでよい。最近この技術を真似て、空間だけのダイを取り付けている例が発表されているが、それを用いるくらいならばカオス混合装置を取り付けた方が良い。

特許が出ているが、弊社に依頼していただければ、特許に抵触しない改良装置を設計いたします。お問い合わせください。

カテゴリー : 一般

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