2024.10/07 繊維補強樹脂
グラスファイバーや炭素繊維を樹脂に混ぜて成形すると、樹脂単体よりも弾性率が向上する。これは、金属やセラミックスでも同様であるが、セラミックスでは靭性が向上する程度で、弾性率の改善まで観察されないことがある。
いずれもトラブルなく成形体が製造された時の物性であるが、このような繊維補強材料は成形が難しい。なぜなら、いずれの場合も流動性が悪いためである。
セラミックスではあまり繊維補強のニーズはないが、研究は20世紀の時によく行われた。樹脂や金属では今でも研究が行われ、弾性率向上が必要なときの材料改質手法として使われる。
樹脂の繊維補強では、繊維と樹脂の界面における濡れ性が分散性と力学物性に影響を与える。これは金属でも同様であるが、金属の場合に製造条件で改善することができる場合もあるが、樹脂では金属と同じ方法を使えない。
すなわち、繊維表面の濡れ性改善かカップリング材の添加が必要になる。これが樹脂の繊維補強の設計を難しくする。大抵は繊維表面が改質されたものが市販されており、さらに連続長繊維となっていてフィードしやすいような製品形態も存在する。
ゆえに、今では繊維補強樹脂は繊維メーカーに相談するとそれなりの繊維補強樹脂を誰でも製造できる時代になった。ナノファイバーの使いこなしノウハウも知られるようになったのだが、リサイクルするときに問題となる。
すなわち、繊維補強樹脂は靭性が高くなっているので細かく粉砕しにくいのだ。繊維補強樹脂のリサイクルは、ケミカルリサイクルが望ましいのだが、粉砕の段階で粉塵問題もあり、技術的な障壁が大きい。
繊維補強以外に、超微粒子で補強する方法も存在する。意外と知られていないのだが、繊維補強と超微粒子補強と比較すると靭性の改善効果は超微粒子補強の方が高い。
また、繊維補強樹脂のようにリサイクルするたびに繊維が短くなり、補強効果が低くなる問題を避けることができる。しかし、繊維補強に比較し研究例が少ないので技術開発が必要になる。
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