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2024.10/22 混合

ミキシングプロセスに対する誤解は、科学が進歩した今でも存在し、混練技術の難しさの原因でもある。混練技術は、トランスサイエンスを含んでいる。


15年ほど前に混練のシミュレーターを1000万円前後で導入したが、使い物にならなかった。せいぜい温度分布が実際とうまく対応しただけであるが、温度については、慣れてくれば勘ピューターでも計算可能である。


低分子の混合であれば科学ですべてをリベールできるのかというと、そうでもない。理想溶液あるいは正則溶液という前提を忘れてはいけない。


低分子の分子量の上限については、明確ではない。高分子に対して低分子という用語があり、中間の分子量はオリゴマーという。


分子量が100を越えるあたりからその構造が混合の物理化学因子に影響を与えるので、必ずしも教科書通りとならない現象が起き始める。


2成分以上の混合ではSPが問題となる。界面活性剤を用いればHLBが、高分子が2成分以上入ってくるとχパラメーターが、とだんだん怪しくなってくる。


混合するときに粘性が発生するのでレオロジーも関係してくる。化学系の大卒であれば混合の科学についてすべてを学習しているはずだが、50年前と現在ではχの位置づけが変化していることをご存知だろうか。


χは今も昔も中身は自由エネルギーであるが、昔はその部分が明快に授業で説明されていない研究途上のパラメーターとして説明された。教科書にもχが説明されず、一言フローリー・ハギンズ理論という言葉が出てきただけである。


すなわち、この50年間でもこの分野では学問の進歩があったわけであるが、混練や混合について教科書には十分な説明がなされていない問題がある。


これが実務ではどのような問題を引き起こすのか気がついていない人が多い。適当に混合すれば何でも混ざると勘違いしている。料理でもその混ぜ方で味が変わるのだ。

カテゴリー : 一般

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