2024.11/08 全自動酸素指数測定装置の思い出(3)
当時の燃焼試験機としては最先端の科学の塊であったが、発泡体の測定ができない木偶の坊だった。そこで発泡体を熱プレスし、密度を上げて測定サンプルとしてこの試験機でLOIを求めたところ、自動でLOIを測定できた。
さっそくこのことを上司に報告したところ、科学的に意味がない、という。発泡体と熱プレスでできたサンプルとは等価ではないことがその理由である。
しかし、熱プレス品で難燃性レベルを上げる研究ができるのでは、と提案してみても非科学的方法だという。ダンフレームBの熱プレス品がLOIで19という値が得られており、これを21以上になるように改良しなければ大問題となる、と主張しても、非科学的データなので、と片付けられた。
そこで、全自動酸素指数測定装置の自動化用装備をすべて外し、マニュアル測定ができるようにした。指導社員がびっくりして壊しているのか、と尋ねてきたので、発泡体でも使えるようにしているのです、と答えている。
全自動酸素指数測定装置には燃焼挙動を正確に把握するために、測定時に黒いケースで覆う仕掛けとなっており、このケースをセットしないとすべてが機能しないようになっていた。
それで、各種センサーを外すとともに、この黒いケースもばらすことになって、大掛かりな作業となり、指導社員はびっくりしたのである。
自動化測定に必要な装備をすべて外し、マニュアル測定を行ったところ、発泡体でもLOIを測定できるようになったのだが、少しコツが必要だった。それは最初に粗い方法で概略のLOIを求めておいて、2回目に精度の高いLOIを測定する、という手順がコツだった。
これをフローチャートで表現し、酸素指数測定装置のマニュアルとして装置に貼り付けた。そして、発泡体と熱プレス品とのLOI比較データを求めたところ、ほぼ一致した。
上司に報告したところ、測定しているところを見せてくれ、と言われたので、披露したところ、フローチャートのマニュアルを見つけ、改善提案として社内のQC大会で発表しようと言われた。
そして、発表し見事改善提案3級を射止め、報奨金を頂いたのだが、ある日上司から、あれはすべてマニュアルで測ったのか、と信じられない質問を受けた。ダンフレームBも含め、測定を数回見ていただいていた。
だから、十分な理解が得られていると思っていたら、そうではなかった。上司とのコミュニケーションは、幼稚園生にも分かるように説明するのがコツ、と言われていたが、全自動酸素指数測定装置を発明された方なので、測定手順と実演の披露で理解されていると思っていた。
それよりも、黒いケースも含め、各種実装されていた部品が段ボール箱に入っているのを見ていたはずで、マニュアルで測定していることを理解されていると思っていた。
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