2024.11/09 全自動酸素指数測定装置の思い出(4)
自動化のための装備をすべて外した全自動酸素指数測定装置は、単なる酸素指数測定装置と同じである。ただし、全自動酸素指数測定装置では、燃焼速度の速いフィルムや発泡体を測定することはできない。
ゆえに手動でそれらを測定可能にした改良は、機能アップしたことになる。さらに発泡体のLOIを精度よく測定できるアルゴリズムを考案したのだから改善提案賞を受賞したのは当然、と思われた。
しかし、推薦してくれた上司から、当方の説明に騙されたと叱られた。しかし、審査したQC部門の管理職は、全自動の装置を手動で動作させた発表内容をユニークと評価したのである。
専門外の管理職には正しく内容が伝わっているのに、専門家である上司に誤解されたことを奇異に思っていたら、指導社員から今回の件だけでなく業務上そのようなケースが多いので注意しなければいけない、と教えられた。
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指導社員の話では、市販されていた酸素指数測定装置の10倍のお金を投じて試作した全自動酸素指数測定装置が、ダンフレームBの開発に使えず悩んでいたので、その装置が使えるようになっただけでもうれしくてアピールするためにQC大会へ推薦したのだという。
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しかし、全自動の装置を手動に改良したことがユニークと評価されたことに腹をたてられたそうだ。上司は、フローチャートとして手順が書かれていたので、何らかの自動化がなされていると勘違いしていたそうだ。
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上司は研究所のOA委員長に任命され、当方はその事務局を任されていた。そして80万円のローンを組まされてMZ80Kを1セット購入したばかりだった。
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初任給10万円の時代に80万円の買い物である。必死になって当方はコンピューターなるものを勉強していた。情報の無い時代に勉強する苦労は、今の若い人には理解できないだろうが、お金がかかるのである。
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80万円以外に勉強するための専門書を購入する費用も自前だった。フローチャートの書き方を覚えた頃だったので、マニュアルを見事なフローチャートでまとめただけなのだが、それを上司は自動化手順と勘違いしたのである。
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その後、このLOI測定装置が活躍し、ホスファゼン変性ポリウレタンフォームや燃焼時の熱でガラスを生成し難燃性の機能を発揮する難燃化システムが短期間で開発できたのだが、LOIを測定しているところを上司に見つかると、「その装置は君のために購入したのではない」とか、「趣味で仕事をするな」とか様々なパワーハラスメントを受けた。
プロジェクトリーダーからFDを壊され業務妨害を受けた思い出やら、このような叱責は、いくつになっても心の傷として残り忘れない。世の管理者は部下に対していじめとか嫌がらせを慎んだ方が良い。
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特に成果を正しく評価できない管理者は、部下に嫌われることを知っておくとよい。この上司は、3年後当方以外の部下全員に、異動希望を出されている。
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当方は留学が内定していたので異動希望を出していないが、上司から造反の首謀者を聞かれた。当方は、上司の質問で初めて全員が異動希望を出していることを知ったので答えることはできなかった。指導社員の説明では、偶然の出来事だったようである。
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