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2024.11/14 混ぜる技術の難しさ(3)

混ぜる技術を大学では化学工学として教えている。そして学ぶ目的としてエネルギー効率の高い混合技術に置いているようだ。混合技術により出来上がる材料を目標としていない。


しかし、企業における混合技術では、それにより創造される材料に着目する必要がある。すなわち、大学で教える内容と企業のニーズが異なっていることに気がついて頂きたい。


物理化学では、理想溶液を扱い、ある一成分で液体となっているA液とB液を混合する話から始まる。そして混合するとは、AとBとに何らかの相互作用があることを前提としている。


すなわち熱力学的に熱量の出入りが無い状態で、混合による自由エネルギーが負になる前提で論理が展開される。これが正となる時には、AとBが混ざりあった状態から相分離するという扱いである。


例えば、当方が発明した高純度SiC製造用に用いるフェノール樹脂とポリエチルシリケートとは混合により自由エネルギー変化が正となるだけでなく、変化量も大きいので混合しようとしてもすぐに二層に相分離する。

さらにホモミキサーを用いて高速剪断で混合していても目視で判別できる相分離状態が現れるほど混ざらない系である。


χパラメーターの実体は自由エネルギーであり、フェノール樹脂とポリエチルシリケートのχが極めて大きいことが両者を混ぜてみるとすぐに理解できる。どのような混合装置を用いても混合後は即座に相分離する。すなわち、仮に最先端の混合機を用いてもこの系は混ざらないのだ。


これを分子レベルで均一に混ぜたいならば、リアクティブブレンドを使用しなければいけない。国立T大の某先生は物理化学の御専門だったが、学位論文のために当方が一人で行った研究論文を見た瞬間に混合技術のパラダイムの新規性に気づいた。

そして、ご自分は何もやっていないのに、当方単独で実施されたリアクティブブレンドの研究成果を勝手に自分をトップネームにして論文を発表している。


研究者の倫理感の視点で許されないことだが、それぐらいインパクトの大きい混合技術についての学びが1990年前後にあったのだろう。当方はこの被害者だが、被害に遭ってみて混合技術のアカデミアにおける研究の問題に気づいた。


ちなみに学者の倫理の視点でも問題となるその論文は、今もその先生がトップネームで当方がセカンドネームのまま他の研究者に引用されたりしている。

当方はこの事件を抗議し、旧7帝大の一つ国立T大での学位審査をお断りしている。その後、中部大学で学位を取得したが、すでに30年経った。

ゴム会社における隠蔽化されたFD事件やこのような倫理観の無い学者の悪行を個人として訴えるには、訴えた個人がその後失う機会があまりにも大きい時、問題を大きくしない方向に判断する。自己の可能性とクズ研究者のインチキ栄誉とを混合せず、自己の貢献を大切にする。


日本の大学の国際的地位の低下が言われたりしているが、このような事実が放置されている現実があるので仕方がないことだろう。


混合技術から話が少しそれたが、学位問題は、当方が混合技術の問題を形式知と経験知の視点で考え始めるきっかけとなった事件である。勝手に論文を出されたショックよりも、全人格教育が目標となっている高校の先輩にあたる人が倫理観も忘れるほど、当方の研究で受けた学びが大きかったのだろうと思っている。


混合技術は、材料の変性技術にも用いられているのだ。エネルギー効率の視点だけで混合技術を研究している状態では時代遅れである。


攪拌すれば混ざる、と安直に考えていては、例えばPPのリサイクル材を二軸混練機だけで混練した時に強度低下が起き、二軸混練機にカオス混合装置を取り付けると強度アップする現象を説明できない。カオス混合装置で発生している乱流に着目すべきである。

カテゴリー : 一般

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