2024.11/30 年をとっても何か一つできることを
故ドラッカーは、二つの世界を持て、と提言していた。すなわち知識労働者の寿命が延びた結果、現在の退職年齢では、老後の時間が長すぎるからである。
趣味の世界は二つ目として有意義であるが、どのような趣味を持つかが問題である。スポーツが趣味でも70を過ぎるといくら健康な人でも心臓を気にしなければいけない。
当方の提案は、死ぬ間際でもできることを一つ、である。当方は多趣味で若いころにいろいろと手を出したが、結局今も楽しんでいるのは、かけ流しのジャズと、プログラミングである。
昔取った杵柄で、たまに気が向くとギターを弾き、車で遠出をすることもある。野良猫を見つけてはシャッターを切ったりしていたが、なかなか良い写真が撮れないので、とうとう野良猫2匹を家の中で飼うことになった。
今の時代、野良猫でもタダでは飼えない。健康診断からノミダニ駆除、ワクチン接種と1匹10万円近く費用が掛かった。被写体を当方の望んだ時間に、と思っていたら、猫は所詮寝子であり、寝てばかり(注)。
結局ジャズとプログラミングが自由に気楽にできる趣味である。プログラムづくりが楽しいのか、と問われると、そこは考えたことが無い。何かやりたい、と思ったときにやりたいプログラムを作成し動作させるだけである。
それが楽しいのか、と聞かれると困るのだが、うまくプログラムが動作した時の満足感がある、ぐらいしか答えられない。
初任給10万円の時代に、上司に言われ研究所のOA化を行うために80万円のローンを組まされたおかげでこのような趣味が身についた。当時は、プログラムが動いても満足感など無かった。早くローンが終わらないか、とばかり考えていた。
80万円のローン以外にも無茶苦茶な要求をしてきた主任研究員だったが、それでも会議前にFDを壊すようなことをしなかったので耐えられた。耐えた結果、高純度SiCの半導体治工具技術はじめ高分子の難燃化技術や高分子の破壊と現在のセミナーのネタになる研究を十分にできた。
この頃の楽しい思い出といえば、指導社員が美人だったことだけであるが、それゆえ、仕事は皆最下層の当方が行うことになった。右から左へ受け流す歌が流行った時に、どこもそうなんだ、と納得している。人生最も苦しかった時代に、人生の最後まで楽しめる趣味が身についた。
(注)寝ている猫をカメラの被写体のために起こしたのでは、動物虐待となる。昔、学ランを着せて鉢巻を締めた「なめネコ」の写真が流行ったが、動物虐待と指摘され、ブームは去った。外では様々な姿を見せた野良猫でも3食昼寝付きとなると動かなくなる。今働き方改革が進められているが、一昔前は1800時間が目標とされた。そしてGDPは上がらず今日に至る。家の中の野良猫を見ていると、働き方改革の未来に嫌な予感がする。知識労働者についてドラッカーはマネジメントの重要性を指摘していたが、それが未熟な問題は、未だ解決されていない。来年3月にある学会の招待講演者として選ばれており、そこでこの問題のソリューションを自己の体験から講演する。
カテゴリー : 一般
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