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2025.03/27 電気粘性流体の問題(2)

1980年代初めにゴム会社の創業50周年を記念してCIが導入され、社名からタイヤが無くなった。このとき、タイヤ以外の多角化を目指し、電池とメカトロニクス、ファインセラミックスを3本の柱とする方針が服部社長から出された。


その後、方針の一つ電池はセイコー電子工業とのJVとして事業化され、世界初のLi二次電池の実用化成功を評価されて日本化学会技術賞を受賞している。


ファインセラミックスは、当方の提案した高純度SiC技術が無機材質研究所で3日間の開発期間で技術が完成し、2億4千万円の先行投資と研究所建設が行われ、その後住友金属工業とのJVとして事業が立ち上がった。


しかし、この事業が立ち上がった時でも、電気粘性流体は研究段階であり、事業化の見通しが立っていなかった。U本部長は、実用化を促すためにデバイスに組み上げ耐久試験を命じたが、担当者は渋っていた。


そしてU本部長からI本部長に交代した時に、「電気粘性流体の耐久性問題は、界面活性剤で解決できない」という科学的に完璧な否定証明を完成させたのである。U本部長の時には実用化を進めていたのだがI本部長になると、また研究に逆戻りしている。


そして、あらゆるHLB値の界面活性剤を用いても電気粘性流体の耐久性問題を解決できないという否定証明の論文を世界的な大発見とI本部長は持ち上げ、「加硫剤も添加剤も何も入っていない加硫ゴムを開発せよ」ととんでもない指示を出したのだ。


立ち上がったばかりの住友金属工業とのJVを止めてこの開発を担当するように言われた当方は、オブジェクト指向とデータサイエンスにより一晩で電気粘性流体の耐久性問題を解決できる界面活性剤を見つけた。


一晩で見出された界面活性剤が実用化レベルであることは、1日の耐久促進試験ですぐにその性能が確認できた。なぜなら、当時の電気粘性流体は2-3時間で失活したからである。さらに当方の一晩で見出した界面活性剤は、1日経っても当時の電気粘性流体の性能を維持し続けた。


このテスト結果が出るや否や、当方の見出した界面活性剤は界面活性剤ではない、第三成分と呼べ、と強制された。化学を知らないI本部長には第三成分と呼ぶことによりこの技術を新技術として認めていただけたのはよかったが、科学が唯一の方法とされた研究所ではおかしな出来事である。

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1970年代のマイコンの登場で1980年代から始まったDXにより、科学に対する視点が変わり始めた1990年の出来事である。

カテゴリー : 一般

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