2025.04/08 オリゴマー
高分子と低分子の間の分子量体をオリゴマーと呼んでいる。高分子材料の研究は良く行われているが、このオリゴマーに関する体系だった論文を読んだことが無い。
高分子溶融体のレオロジーを論じるときに、溶媒とこのオリゴマーの比較をしている研究や、オリゴマーが多いと力学物性が低下する話については読んだ記憶がある。
いずれも想定内の結果であり、分かり易かった。しかし、プロセシングで遭遇する現象には、不思議な理解できない問題を引き起こしたり、あるいは稀にそれが良い結果を導き出しているような幸運な出来事もある。
例えば、PPSに経験知から新たに設計したPH01というオリゴマーを添加したところ、カオス混合では著しく流動性が改善されながら、Tgを低下させない不思議な現象が起きるのに、二軸混練機だけの混練では、物性改良材としても機能しない。
これは、分散状態でその機能が変化しているととらえることができるが、電子顕微鏡観察でその違いを探ってもよく分からない(注)。レオロジーや熱分析でその差異が著しくなるだけである。
一方、PPSだけを二軸混練機で混練した場合とカオス混合した場合でもレオロジーや熱分析結果が変化し、PH01の添加はその変化を強調しているだけに見える。
単純に溶媒として機能しているだけならば、このような差異が生じるのは不思議である。不明点は多いが、機能性添加剤としてPH01は某企業で検討され実用化された。特許も各国で成立している。
(注)いずれのコンパウンドでもPH01の球晶の分散している状態が観察されている。しかし、その量を面積から推定すると、添加量の半分以下である。
カテゴリー : 一般
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