2025.04/10 高分子融体のレオロジー
これだけ科学の進歩を日常で感じると科学で解明できていないことが無いような錯覚に陥る方もいるかもしれない。しかし、最先端の技術を開発していると未だ未完成の形式知にイライラする。
高分子分野では、形式知の体系すらできていない。金属やセラミックスでは一応の体系が20世紀に完成している。セラミックスから高分子まで、あらゆる材料開発を人生で体験して良かったことは、この形式知の体系を味わうことができたことである。
2000℃までのSiC単結晶の熱膨張測定に成功した時、その異方性にびっくりした。80%以上の共有結合の無機単結晶であり、モデルを作って考察した通りの異方性である。
同様の感動が、高分子融体のレオロジー測定であった。PPS融体についてT社技術レポートに記載されたレオロジーデータに疑問を持った。退職してから英弘精機の機械を借りて測定し、PPS半導体無端ベルトの押出成形で遭遇した現象に納得した。
T社技術レポートに記載されたデータが誤った測定データだったのである。T社と言えば日本のトップメーカーであり、間違ったデータを記載していては問題であるが、当方のセミナーでこの問題を公開してきたらいつの間にか公開データが無くなっていた。
このPPSのデータで面白いのは、PH01という添加剤が混練された時だけでなく、フローリー・ハギンズ理論では否定される6ナイロンをカオス混合で相溶させた時である。ご興味のあるかたはお問い合わせください。
また、来週のセミナーでは一部データを公開し説明します。科学で未解明な領域の技術開発に果敢に挑戦しています。未だに感動する現象に遭遇し、生きている喜びを味わっています。高分子材料はその宝庫です。
カテゴリー : 一般
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