2025.04/15 二軸混練機の性能(3)
PETボトル廃材をベースにUL94-V2に合格する難燃性樹脂を設計するのは難しい。開発目標が環境対応樹脂なのでノンハロゲンとしたい。しかし、ノンハロゲンであればリン酸エステル系難燃剤を10%以上添加する必要がある。
また、PETは射出成形が難しい樹脂なので、フィルムやボトルの用途すなわち押出成型あるいはブロー成型に限られているのだ。PC/PETであれば、PCの難燃性や射出成型性を活かすことができる。
PETを基材にして難燃性の射出成形体を開発する目標は難しい課題であったが、カオス混合技術とデータ駆動により、難燃剤無添加でPETボトル廃材が70%以上含まれる難燃性樹脂の開発に成功することができた。
幸運だったのは、6年間日本のトップメーカーから買い取っていた出来損ないのPPSコンパウンドが大量にあり、それを処分するのも当方の責任だと前任者の部長から言われていたことである。
詳細は書けないが、リーダーを代わってくれと言っていた背景の一つにこの怪しい仕事もあった。しかし、この怪しい仕事のおかげで、出来損ないのPPSコンパウンドを有価物として中国のローカル企業に輸出できた。
このPPSコンパウンドを難燃剤の代わりに使用し、ドリッピング型の黒色難燃性樹脂を設計することにした。カオス混合を用いるとPPSとPETは相溶し、難燃試験の時にほどよい粘度でドリッピングして消火した。
ところでPPSとPETは融点と溶融時の粘度が著しく異なるので、混練温度の設定が難しい。混練の教科書通りに設定するとPPSの分散ができない。なぜなら、溶融粘度が大きく異なるからである。
粘度差の大きい樹脂を二軸混練機で分散すると微細構造の高次構造を実現できない。伸長流動でそれが可能になると言われているが、二軸混練機で発生できる伸長流動では難しい。
当方のカオス混合の成功後、日本のトップメーカーから二軸混練機のスクリューデザインでカオス混合を実現したという特許が10件ほど出ている。退職後この特許の検討をしたところ当方のカオス混合装置のようにPPSと6ナイロンを相溶できない。
ただし、部分的に相溶しTgが下がっているので、特許は嘘ではないかもしれないが、この発明を凌ぐ当方の技術が存在する。また、これらの特許を検討していて、特許に書かれた条件以外にカオス混合を二軸混練機で実現する方法を思いついた。
関心のあるかたはお問い合わせください。特許出願可能なアイデアであり、弊社で明細書案作成から出願までの費用は、弁理士費用も含め50万円です。出願後の費用は含みませんので、ご希望の条件をご提示ください。7月までに希望者が現れない場合には、ナノポリスで実験予定にしております。
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