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2025.07/31 技術者の仕事のやり方(1)

当方の体験した実話をもとに、仕事のやり方を書いてみたい。


まず、転職の原因となった、電気粘性流体の改良技術を担当することになった時の仕事のやり方を公開したい。


当時、高純度SiC半導体治工具事業を一人で担当し、住友金属工業とのJVを立ち上げて、大変忙しい時に、本部長が交代した。新しいI本部長は、6年間研究が続けられても実用化の目途が立っていない電気粘性流体の仕事について、当方に加硫剤も添加剤も入っていないゴムを開発するように命じてきた。


当方に部下が増えるわけではなく、住友金属工業とのJVをやりながらの担当である。すでに過重労働状態でサービス残業をしていたので担当は不可能だった。


プロジェクトリーダーが、ゴムの配合アイデアを出すだけで良い、と言ってきたので、無茶苦茶なテーマなので一晩考えさせてほしい、と答えている。


当時ファイアーストーンの応援のため、ゴムの研究者が研究所に残っていなかったので、当方が一番ゴムについて詳しい研究者という立場になっていた。


一晩考えるにあたり、耐久試験で増粘した電気粘性流体を入手した。当時の電気粘性流体は、耐久促進試験で1時間も持たなかったので、有効な界面活性剤を見つけるには時間がかからなかった。


そこで、「あらゆるHLB値の界面活性剤を用いても、耐久試験を通過できない」という否定証明の研究が、多数の界面活性剤を取り寄せ1年かけて行われたのである。


この科学的に完璧な研究成果をもとに、I本部長は無茶苦茶なテーマ設定をしただけでなく、前本部長が立ち上げたJVをつぶそうとしてきたのだ。


タイヤ事業で世界トップメーカーでありながら、なぜ新事業が育たないのかは、伝統的にこのようなマネジメントが行われている、と言っていた人がいるが、まさにそれを体験するような状況だった。


なんとか新事業をつぶさず、電気粘性流体の仕事も推進することができないか考え、オブジェクト指向とデータサイエンスで乗り切ることを考えた。


そこで界面活性剤のカタログデータを主成分分析したところ、5種類ほど他の界面活性剤と異なる集団が見つかっり、それを用いて耐久試験を朝まで行ったところ、増粘せず、たった一晩で有効性が確認された。

カテゴリー : 一般

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