2025.08/22 科学の研究は難しいか?
高純度SiCの半導体治工具事業は、担当者が当方一人となった時に、住友金属工業とのJVとして立ち上がったが、それまでは迷走状態で、毎年のように上司が代わった。
その時最後に上司となられた方は、グループのリストラを推進するとともに、当方は特命担当とされた。すなわち、SiCの担当からも外され、35歳で窓際となったのである。
その方から、研究をまとめるように言われた。高純度SiCに関する当方が行った実験については、すべて社外発表して良いとも言われた。そして学位を取得するために東北大学を紹介されたのだが、これが問題の種となった。
この話は以前ここに書いているが、アイデアも何も出さず実験をやっていない助教授が小生のまとめた研究内容を勝手に投稿してしまった。
すでに日本化学会年会で高純度SiCの反応速度論については発表しており、これを証拠に訴えることも考えたが、高校の先輩であることと、事業への影響を考え、耐えている。
この時の上司が、科学の研究ができるのは大学を卒業していないと難しい、誰でもできるものではない、と小生に科学の研究を指導しようとされた。
そこで小生は、大学4年から大学院修士までの研究で書いた論文6報の束をこの上司に見せたら、黙ってしまった。おそらく小生が研究のできないスタッフと思っていたのだろう。
当方は当時科学の研究と、オブジェクト指向によるデータ駆動の方法の研究を行っていたが、これを説明したところ、それは高卒のスタッフが行っている方法だと笑われた。
恐らく、この時の上司が今のマテリアルインフォマティクスの研究発表を聞かれたら、大笑いされるに違いない。
恐らく知を得るのに科学の方法が唯一と思われている方は多いと思うが、産業革命は科学誕生以前に起きていることを忘れてはいけない。科学による形式知は、伝承性に優れ、技術開発を加速したが、それ以外の知を得る方法を駆逐してしまった。
アメリカでは1970年代にトランスサイエンスという概念が生まれ、第一次AIブームなども起きているのだが、この動向が当時正しく日本に伝わっていなかったように思う。
オブジェクト指向についても議論が始まっており、1982年以降ソフトウェアーの分野でオブジェクト指向のイノベーションが起きているのだが、これについても無頓着な日本人が多い。
科学の研究は、形式化しており、実は誰でもできるのだ。だから、論文捏造と言う問題が起きたりする。科学の研究よりも美しいオブジェクト指向の設計のほうが難しい。
カテゴリー : 一般
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