2025.09/14 残業キャンセル界隈(4)
ホスファゼン変性軟質ポリウレタンフォームは世界初のホスファゼン変性ポリウレタンエラストマーである。それを当方は、ゴム会社の基盤技術0の状態から合成に成功している。
大学院はSiCウィスカーの講座で2年間学んだが、大学4年の時に身につけた当方の合成技術スキルが高かったのである。その結果、セラミックスの講座出身の社員にも合成できる簡単な技術と誤解され、主任研究員からすぐに工場試作の準備をするように指示が出た。
主任研究員には、合成スキーム等説明し、エーテルなども使う危険な作業であることを説明しているが、セラミックスの研究室でエーテルを使ったら大変だろうが、ここは高分子合成研究室だから大丈夫と言われている。
さらに、合成するのに時間がかかることを説明したら、残業しても良い、という。しかし、当時新入社員の2年間は残業手当が出ない規則だった。入社して半年間の研修でも終日拘束され、夜は夜で集団生活で、残業代は無かった。
樹脂補強ゴムの開発は面白い仕事だったので、残業代など無くても楽しく残業して1年の計画を3カ月で仕上げたのである。しかし、今回はノー残業生活と時々美人とのオフJTという楽しい生活を犠牲にしてホスファゼン前駆体を工場試作用に大量合成しなければいけない。
それで休日出勤も願い出たら簡単に許可が出た。それで休日出勤もして工場試作に必要なホスファゼン前駆体をたった一人で合成している。そして、工場試作を成功させたのだが、その後、主任研究員から始末書を書けと1週間もめることになった。
こうして当時を思い出しながら書いてみたら、無茶苦茶な体験であることを改めて感じた。このような時代があったのだ。その後FD事件が起きるまで12年間この会社に勤務しているが、完全なるブラック企業だったのだろう。
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