2025.09/29 高分子材料の破壊(2)
40年ほど前に壁掛けのからくり時計を購入した。その時計には壁掛け用のフックがついていた。フックは樹脂製であり、壁にねじ止めして用いるように注意書があった。
少し不安だったが、製品についていたフックなので信頼して取り付けたのだが、20年ほど前に突然その時計が床に落ちてびっくりした。20年以上耐久していたので、製品寿命として捉えるべきなのか悩んだ。
フックの破壊した断面を観察したところ、微小な欠陥があった。この微小な欠陥が起点になったのかどうか不明だが、典型的なクリープ破壊である。
金属やセラミックスでは、疲労として扱い、疲労寿命などを予測したりする。そして、このようなフックについては、疲労寿命が製品寿命より十分に永い設計を行う。
からくり時計の製品寿命がどれだけか知らないが、怪我人が出なかったことだけでも幸いである。壊れた時計は修理が効かないほどの壊れようだったので、新たにからくり時計を買いなおしたのだが、取り付け用のフックは金属製だった。
ところが、このからくり時計は、半年もしないうちにからくり部分が動作不良を起こした。保証期間内だったので修理に出したが、3カ月ほどで、また同じ部分が壊れた。
それで、修理に出したときに新品に交換してほしいと申し出た。2回同じ部分が壊れていた旨を写真とともに説明し、新品交換となったが、20年近くトラブル無しで満足している。
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