2025.10/09 高分子成形体密度
あらゆる材料で密度は弾性率に影響するのでその成形体の強度を左右する。ゆえにセラミックスや金属では、成形体の密度管理が研究開発段階から行われている。
しかし、高分子の成形体では密度というパラメーターに、あまり関心がもたれていない。高分子には部分自由体積というその量を制御することが難しい構造が存在する。
その結果、高分子成形体密度が1割以上ばらつくケースもある。そのような場合に、成形体をアニールすると大きく変形する。射出成形では圧力をかけるので多くの場合数%程度が観察される最大値かもしれない。
しかし、1-2%でも密度がばらつくと、高分子成形体ではクリープ速度が2倍以上に変化するので構造体のような常に応力がかかる部品に応用するときに注意しなければいけない。
セラミックスでは、密度のばらつきで欠陥サイズのばらつきを疑ったりするので、強度データに対して注意を払う。しかし、高分子成形体では密度が1-2%ばらついても強度データのばらつきの大きさに大きく現れない時がある。
その結果、市場でクリープ破壊による品質問題を起こすことがある。クリープ破壊による品質問題ではフラクトグラフィーの知識がないと原因不明の破壊として処理されたりするので厄介である。
また、クリープ破壊ではなく、原因不明の変形として市場で品質問題を起こしたりする。最近では、自動車の燃料ポンプの部品の変形でリコールが起きたりしている。
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