2024.05/21 高分子材料の難燃化技術開発
高分子材料を難燃化する時に問題となるのは、難燃剤の添加により、他の力学物性が低下することである。この問題をどのように克服したらよいのか。
力学物性と難燃剤の添加量との関係をグラフ化すると力学物性が低下するが、その時に線形性をもって低下する場合とそうでない場合がある。
少量の添加で1割以上急激に低下後緩やかな減少を示すグラフとなる場合が多いのではないか。これが難燃化しようとするプラスチックの可塑剤としても用いられている難燃剤であると、少量の添加で急激な低下ではなく緩やかな低下となる。
この二つのグラフが得られると、力学物性の低下を最小限にしてプラスチックを難燃化するアイデアへとつながる。すなわち難燃剤を組み合わせて用いるアイデアである。
もし難燃化しようとしているプラスチックに芳香環を持った化合物が分散しやすいならば、芳香環を有するポリマーとブレンドして難燃剤を添加するアイデアを思いつくが、これが意外と期待された結果とならない場合がある。
期待された結果とならないが、何となくよさそうな結果が出たりすると大変である。それなりの考え方をもって検討しないと開発の無限ループに落ちる。
特許を調べていただければわかるが、プラスチックを難燃化しようとしたときに考えられるアイデアについては、ほとんど公開されている。
そしてよさそうな特許の実施例を実験してみて、大した結果とならないことがあるとペテントとして処理したりするが、ちょっと待った!である。特許出願にもお金がかかるのでインチキ特許とは限らない。隠れたノウハウが存在する可能性がある。
難燃剤と力学物性の問題に限らず、二律背反問題では、科学的なアプローチが誤った判断へと導くことがある。それを防ぐためには、タグチメソッドは一つの良い方法であるが、この手法は科学と非科学の境界に位置する手法である。
なぜなら、あるシステムで成立した条件が他のシステムでは成立しないことがあるからで、故田口先生は、「システム選択は技術者の責任」と言われていた。
最初に問いを投げかけた一つの答えは、タグチメソッドで開発を行う、であるが、それ以外にもデータサイエンスによる様々な手法を使って最適化する、という考え方もある。詳細は弊社へお問い合わせください。
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