2024.06/09 高分子の難燃化技術
かつてかぐや姫の時代に耐熱性衣のアイデアがあり、かぐや姫は結婚を迫る皇子にそれをねだった。耐熱性高分子はそれくらい歴史があるのだが、1970年代に難燃性高分子の研究が活発になり、リン酸エステル系難燃剤の開発競争が起きている。
その後1980年末に、臭素系難燃剤の開発競争が起きているので、高分子の難燃化技術は、20世紀末の30年間にほぼ完成したと言える。
1970年代には、怪しげな大学の先生がおかしなことを言いだしたので、難燃性のない天井材が難燃性天井材としてヒットし、その後台所を中心とした火事が増加する事案が社会問題となり簡易耐火試験が生まれている。
この試験法の作成にあたり、ヘルメットと安全靴を持って出張した話をこの活動報告に書いている。しかし、この怪しい先生の事案はある種の科学コメディーでもあるが、ここでは関係者を傷つけるのであまり詳しく書けない。
アカデミアでそれなりの研究成果を出されたのは武田邦彦先生だろう。この先生はご自分の研究成果をWEB上に公開されているのでご覧になっていただきたい。
この先生によると経済的な難燃化システムはハロゲン系難燃剤+三酸化アンチモンの組み合わせシステムだという。これは、実務者から見ると微妙な評価となる。
もっと安い方法でUL94-V2を通過できるシステムを設計することができるからである。ちなみに当方が開発したPETボトルのリサイクル材を使用した樹脂では、難燃剤を用いなくてもUL94-V2を無事通過する。
しかもノンハロゲンである。ペットボトルリサイクル材以外のプラ廃材を20wt%含有しているので100%廃材リサイクルの環境対応樹脂である。
開発当時廃材のPETは70円/kgであり、これを80%含有した樹脂だったので、最も経済的な環境対応難燃性樹脂として複写機内装材にすぐに採用されている。
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