2024.07/26 実験の方法
1980年代にイムレラカトシュが、科学の方法を完璧に遂行したいならば否定証明となる、と指摘してから40年以上経過した。
この意味がどれほど正確にゴム会社で理解されたのか知らないが、基礎研究所から批判されてもKKD法でタイヤ開発を遂行し大成功を収めて世界のトップになった。
ゴム会社の基礎研究所同様に今も科学の方法で開発を進めている企業があるならば、実験のやり方を見直した方が良い。理由は簡単で、イムレラカトシュの言葉は、科学の方法で開発を完璧に遂行したならばモノはできない、という意味だからである。
実験方法のパラダイムとして、科学の方法とそれ以外の方法とがある。それ以外の方法にはタイヤ開発で行われている方法以外に同じく1980年代に日本で流行したセレンディピティーに頼る方法も含まれる。
このセレンディピティーなる単語は、サイエンス&トランスサイエンスなる記事が雑誌「サイエンス」に掲載された時に日本で流行している。
トランスサイエンスについて、深く理解できなかったアカデミアの研究者がセレンディピティ―のみ日本で流布している。学会の特別講演などで講演者がしたり顔で説明しているのを何度も聞いている。
セレンディピティーは犬も歩けば棒にあたるというような意味だそうで、アカデミアの偉い先生が自慢げに説明している姿を失礼だが正直間抜けに見えた。これを高分子同友会で某企業のCTOが得意げに用いて講演をしていたので絶句した。
本来は、トランスサイエンスを理解した上でセレンディピティーという言葉が生きる。当時日本でも科学論が盛んで似非評論家が本を書いたりしてデビューしているが、誰もアメリカで注目されたトランスサイエンスについて書いていない。21世紀になって、大阪大学の先生がようやくトランスサイエンスなる書を上梓されたが、遅すぎる。(明日に続く)
カテゴリー : 一般
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