2024.09/04 高分子の添加剤
高分子には様々な添加剤が添加され、コンパウンドとして提供されている。透明性が要求される光学用レンズ材料でさえも数種類の添加剤が入っている。
この添加剤の中には、目的が不明の場合もあることをご存知か。ゴム配合技術を新入社員の時に習ったが衝撃的なことを教えられた。何故添加しているのか不明の添加剤があるというのだ。
その添加材を入れなくても物性変化はないが、耐久寿命が変わるので、寿命に効いている、と言われているが、そのメカニズムが不明という。
ただし、その添加材を抜くと寿命試験で短くなる結果が得られるという。当方は不思議に思い、一度その添加材を抜いてみたところ、物性も耐久性も何も影響が出なかった。
しかし指導社員からコストダウンの目的でもない限り、抜かない方が良い、と言われた。理由は、現場でも知られており、その添加材が添加されていない配合は信頼度が低くなるかららしい。
同じような問題が写真会社に転職した時に発生した。エポキシ基を持った添加剤である。接着剤によく使われる分子構造であるが、発がん性のある化合物が多い。
これを廃止する企画をしたが、最初はゴム会社と同様の理由で没になった。そこで、多層塗布における接着について基礎研究を進め、各層の弾性率と応力分布の関係等基礎的事項について研究成果を積み重ね、この化合物が無くても十分な接着力を出せる手法を開発した。
その結果、この添加剤を抜くことができたのだが、これは、科学的に証明できたので周囲の理解が得られたのだが、大変な作業であった。
カテゴリー : 高分子
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