2024.09/25 高分子の寿命
高分子材料を常に荷重のかかった状態にしておくとやがて破壊に至る。この寿命は、荷重の値や荷重のかかり方で大変大きな影響を受ける。すなわち高分子の寿命試験は、条件を限定しない場合に大きくばらつくということを知っておかなければいけない。
この経験知の有無で実用化の際に地獄と天国の分かれ道となる。例えば成形体密度の変動条件を見誤ると実験室で得られた耐久寿命よりも10倍も100倍も長寿命化したり、その逆も起こる。
また、破壊に至らなくても残留歪や応力の方向に変形する現象が起きる。身近の現象として、下着のゴム物性のばらつきを体感しているかもしれない。
変色し破れるまで使用可能なものもあれば、生地はしっかりしているのにゴムが伸びきったために使用不能となる場合を体験している人もいると思う。
中年になってゴムの劣化が激しくなるのは、ゴムにかかる応力が増加した可能性が高いが、最近の下着はゴムの交換ができないのでもったいない。子供のころはゴムを交換して生地がダメになるまで下着を使用できた。
身近なゴムの寿命のばらつきの大きさを知れば、高分子成形体の寿命試験を慎重に行う必要に気づくかもしれない。さらにその試験方法の問題に考察を深めたいと願望が出てくるかもしれない。
カテゴリー : 一般
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