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2024.11/19 「混ぜる」技術の難しさ(6)

国民民主党のスキャンダルと「混ぜる」技術を同じコラムに書いても混同することはないが、χとSPの話を一緒に論じるとその使い分けに悩む。


SPは凝集エネルギーを論じるが、χでは自由エネルギー変化を議論している。そもそものパラダイムが異なるのに、χを見積もる時にSPを用いたりする。


ただし、フローリー・ハギンズ理論では、同じ格子の中に異なる高分子を押し込んで(凝集ではない、押し込んでいる)、その自由エネルギー変化でχを定義している。密着(凝集)しているかどうか不明なのに格子の中で密着した状態を仮定し理論展開してゆく。


この理論の怪しいところは、このように異なる高分子が同じ格子で密着しているのを見ているところから議論を始める点である。ゆえに凝集エネルギーから計算するSPも使える、と早とちりして知識の整理をしてしまい、混合の問題で新しいアイデアを出せなくなってしまう。


異なる成分の高分子を混ぜてポリマーアロイを製造するのだが、この時χが0にならなければ相溶しないことになっている。


すなわち、χが正の場合には異なる高分子どおしの密着は起こらず、海島構造に相分離してゆくことになる。これをSPの議論で行い、SPが異なる高分子の組み合わせでは、相溶が起きない、と結論したりする。


そして、ある本では、異なる高分子のSPについて引き算の項が示され、χがSPから計算できるような誤解を与える。高分子シミュレーターOCTAでは、異なる高分子を混ぜるときにSPの温度依存性やχの温度依存性を計算することができる。

面白いのは系によっては両者のグラフの形が全く異なる変化を示す場合がある。恐らく内部でχとSPは異なるアルゴリズムで計算しているのだろう。

カテゴリー : 一般

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