2024.11/21 「混ぜる」技術の難しさ(7)
χとSPを一緒に論じるとわからなくなるだけでなく、材料開発においてアイデアも出てこなくなる。新材料設計、あるいは配合設計において混合のプロセシングは重要である。
混合装置が伝承され、既存の混合装置で材料開発をしなければいけない、と勘違いしている。既存の混合装置でも邪魔板をつけたりする改良でプロセシング効果は変化する。
あるいはスタティックミキサーの設置はそれほど投資負荷とならないのでこれを検討して隘路を打開する、という方法もある。少し乱暴だが、金属球と一緒に撹拌すれば、剪断効果を生み出すこともできる。
設備の改良はリスクが大きいので混合物のSPについて考察をする技術者は多いかもしれないが、対象が高分子の流動であれば、χを考察すべきである。
低分子の混合だけであれば、SPを用いる。高分子と低分子の場合はSPとχの両面で考察するのが正しい。SPの求め方については様々な方法が知られているが、χはOCTAで計算するのが簡単である。
しかし、χやSPをどのように求めて、アイデアを練る時にどのように使うのか、教科書には親切に書かれていない。むしろアイデアを束縛するような説明となっている。
なぜなら、χが正でも混合プロセスの工夫で相溶する系は存在する。SPが異なっても分散剤を選んでやることにより溶解することが可能となる。またリアクティブブレンドを用いれば、全く混ざりそうもないものを混ぜ合わすことだってできる。
SPやχが分からなくても、混ぜてみてうまく混ざらないならば、何らかの工夫をする、これが重要である。混合について考えるときに、まず混ぜてみてよく観察すること、これをお勧めする。
カテゴリー : 一般
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