2016.04/14 高分子の融点(3)
高分子のガラス転移点について、高分子が紐状であることと結びつけて頭にイメージする作業は高分子材料の熱的変化を考えるときに重要である。ここからは、実践知も混ぜて述べるので、やや科学的ではない表現も出てくる。
科学的ではないが高分子材料を活用する時に考えを整理しやすいという理由で、かなり偏見に満ちた内容も書く。心配な方は教科書を片手に読んでいただきたい。
まず、高分子材料の熱的変化を調べるときにDSCという分析装置がよく使われる。会社によっては、熱的変化を分析する装置としてDSCしか持っていない、というところもあるようだが、これは危険である。
大学の先生に相談するとDSCがまずあれば大丈夫だ、とおっしゃる先生もおられるが当方はTMAや温度分散の測定できる粘弾性装置も揃えておくべきと思っている。また化学変化の簡便なモニターのできるTGAも欲しい。
高分子は有機物である、ということを忘れてはいけない。融点が300℃前後の高分子の熱的変化を測定していて、酸化や熱分解の心配をしないのは片手落ちの仕事の進め方である。酸化を防ぐために窒素雰囲気で測定する、という人もいるかもしれない。
しかし、熱分解や熱による揮発は雰囲気を変えても発生する可能性がある。ゆえに実務で高分子材料を扱う場合には、DSC以外にTGAも揃えておくこと。できればTMAか粘弾性装置も高分子材料の熱的変化をモニターするために欲しい。今これらの装置も安くなってきた。
カテゴリー : 高分子
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