2016.05/23 マネジメント(6)
大いに反省しているところはよいけれど、そのあとの文章がまずい、と指導社員に注意された。当方は、今回の始末書についてどこに当方に非があったのか明確な説明を受けていないので、本当は書く気がしない、と正直に答えた。
指導社員は、そのあたりについて理解が早く、そうだよね、となった。本来はテーマとして認めた段階で、責任を取るべき人が決まる、と言いかけたが、ドラッカーの「自己責任の原則」というフレーズが頭をよぎった。本当は、課長が書くべきよね、と指導社員が当方の心を見透かして、一言でまとめた。
当方は、ホスファゼン変性ポリウレタン発泡体の成功で新しい難燃化システムのアイデアが生まれたことを説明し、始末書を逆に利用して化工品部隊に提案したい、と言ったら、甘い、と指導社員に一笑に付された。
新しい企画や、今後どうするのかという点について、当方は一生懸命説明したら、課長に直接始末書をもっていって、議論してみたら、ということになった。入社一年もたたない段階で、罰則規定にある始末書を書く事態になれば、だれでも慌てるはずである。そのうえ、罰を受ける理由を理解できていないのである。
始末書をそのまま課長に提出したら、当方がまじめに反省していない、と叱られた。何を反省したらよいかわからないこと、ホスファゼン変性ポリウレタンフォームの成功で世界初の新たな難燃化システムが生まれたこと、その新しい難燃化システムは、燃焼時の熱でガラスを生成し、高分子を自己消火性に機能向上できること、など一気に熱く語った。
実際は、少し課長とすったもんだがあったが、課長は周囲の目を気にして小声で話すので、声の大きい当方に課長が押し切られるような形なった。課長は、始末書を受け取るから、すぐに今話したことを企画書としてまとめ、今日中に提出すること、と言われた。
当時課長以上の管理職は、担当者と別室で管理職だけの大部屋にまとめられていた。だから課長は他の課長に新入社員に始末書を書かせていることを知られたくなかったようだ。それが幸いした。
課長はあくまで企画の打ち合わせをしているかのような口ぶりで当方との打ち合わせを進めようとしたので、「新入社員が発表会の内容でなぜ始末書を書かなければいけないのか。」と一言周囲にも聞こえるように話したら、始末書をそのまま机の中に隠し、別に用意していた当方の企画書を机の上に広げ、企画の打ち合わせになった。
ホウ酸エステルとリン酸エステルを組み合わせて燃焼時の熱でガラスを生成する難燃化システムの企画は、このように数分で決まった。
カテゴリー : 一般
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