2025.04/17 高分子の劣化
身の回りには高分子材料が溢れているが、その耐久性に関する記述には怪しい内容がある。例えば高分子材料は酸化劣化するので酸化劣化防止剤を添加しなければいけないとか、エステル系高分子は加水分解を受けやすいとかである。
50年前の一般教養の教科書には平気で書かれていたりしたが、さすがに最近の教科書ではこのような記述を見ないだけでなく、劣化や耐久性に触れていない。
高分子の劣化や耐久性に関する学問は高分子材料を実用化するために重要なのだが、学問として扱うには難しい分野である。
1980年代の学会では、高分子の劣化機構に関する研究発表が多かった。ただ大半は溶液の中で酸化劣化を研究しているような内容だった。すなわち、研究成果に実用性が無いのが大半だった。
そもそも高分子の破壊についての形式知の体系がまだ完成していない。高分子材料の一次構造の酸化劣化を溶液中で研究してみたところで、実用化されている高分子材料は溶媒の無い状態で使われている。
いろいろ書きたいことがあるが、これは形式知が怪しいだけでなく、経験知も怪しいものが多い世界であり、セラミックスから高分子まであらゆる材料を扱った当方だけが知りうる世界かもしれないので、まだ公開するのは控えようと思っている。ただし有料セミナーでは問題解決した事例とともに、ノウハウまで公開している。
カテゴリー : 一般
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