2016.06/02 科学の知識(4)
1980年頃ゴムの粘弾性論は、ケモロジーという言葉が生まれるくらいに、知識がカオスになりつつある状態だった。これは指導社員からの受け売りの表現だが、そのとき同時にカオス混合という幻の混練技術を教えていただいた。(当時は実現はされていないから幻である。)
しかし、彼はロール混練でカオス混合がおきている可能性がある、と教えてくれた。そして、ロール混練の実践知と暗黙知を身につけ、連続プロセスでカオス混合を実現するのが当方の宿題、と冗談で言われた。
この指導社員はその行動にいくつか矛盾を抱えていた。例えば、月報はじめ会社で作成する書類は科学的に丁寧に作成していたが、作成しながら、これはゴミだよ、と自虐的によく言われていた。
一方で当方の思いつき発言をよく褒めてくださった。また、それを大切にするようにとも言われた。そして、結果となる現象を想像することこそ仮説よりも重要だ、とやや哲学めいたこともよく言われた。
結果となる現象を想像し、その結果を実現する方法を考えること、これが「考える」ということだ、と教えてくださったのもこの指導社員である。仮説を設定しロジックで展開することは誰でもできるが、本当に考えることは、訓練されていないから難しい、とも言われていた。
当方の思いつきは結果をうまく想像している、ともコーチングしてくださった。この時の指導社員の教えが弊社の研究開発必勝法に一部使われている。
科学でよくやる間違いは、ロジックで展開しようとして目の前の現象を否定的にみることだ、とも言っていた。すなわち科学の知識に頼りすぎると否定証明をしたくなる、という問題だ。これはイムレラカトシュもその著書「方法の擁護」の中で指摘している。
(注)結果となる現象を想像するために、形式知をロジックでつなげる必要はない。詳細は弊社に問い合わせていただきたいが、形式知を使いロジックでつなぎ合わせると、それは仮説になるが、ここでは仮説立案とは異なる方法論を意図している。
カテゴリー : 一般
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