2016.07/06 配合設計(たとえば難燃性樹脂)(15)
あらかじめ難燃化システムが決まっている場合には、材料評価技術として難燃規格だけを用いてそれに適合するよう開発を進めることも可能である。
すでに説明したように、この場合にはタグチメソッドが便利で、基本機能のパラメータとして燃焼時間や燃焼速度、あるいはLOIを利用できる。
例えば電子機器の外装材として需要が伸びているPC系のポリマーアロイでは、UL94-V0規格の燃焼時間を基本機能として採用しタグチメソッドで開発を進めることができる。この時サンプル試験片の厚みや事前のエージング処理などは外側因子として配置し実験する。
ただし、すでに難燃化システムが決まっている場合には、外側因子として難燃剤の添加率を信号因子に採り実験を組んだほうが好ましい。また、この時の基本機能には、難燃剤の添加率に対して線形性が高いLOIを使用した方が良い。
故田口先生は、タグチメソッドは「手法」であり難燃化システムや基本機能の選択は技術者の責任である、と言われていたが、システムとして古典的な三酸化アンチモンとハロゲンの組み合わせを採用するのか、ノンハロゲン系を指向してイントメッセント系の難燃剤を使うのか、新たな難燃化システムを組み立てるのか、あるいは基本機能として何を選ぶのかなどは、まさに技術者の責任である。
ところで、ポリマーアロイの難燃化システムについては多数の特許が存在しており、特許回避策も技術開発を進める上で重要である。幸いにもPC/ABSでは主要な難燃化手法が公知技術となっている。ゆえに特許回避策として公知技術の組み合わせを選択することが可能である。
公知技術の組み合わせでも驚くべき事実が出れば、それは発明となる。
カテゴリー : 高分子
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