活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2012.12/27 OCTAと難燃化技術

OCTAは元東大教授土井正夫先生(以下土井先生)が名古屋大学教授の時にリーダーをされたプロジェクトで開発された高分子シミュレーターである。OCTAという名前は、名古屋の市のマークからとられたというから遊び心があります。このOCTAには、そのほかにPASTAとかSUSHIとかいう名前のついたシミュレーターが用意されている。すなわちOCTAはいくつかのシミュレーターの寄せ集めで、高分子の高次構造、メソフェーズ領域のシミュレーションをシームレスにできる工夫がされている。

 

OCTAの産業界における評価はあまりよくないようですが、これは各種シミュレーションに対するアレルギーのようなものと思います。OCTAはフリー版がありLINUXやWINDOW環境で使用可能です。オブジェクト指向の簡易言語によるプログラミングが必要になりますが、現在の高分子物理の成果がつまったシミュレーターを無料で利用できると考えるとすごいことです。しかもマニュアルの日本語版は情報が豊富で勉強になります。

 

OCTAについては、高分子材料というものがプロセス依存の大きい材料であることを考慮すると、大変よくできたシミュレーターと思います。すなわちプロセスの影響が少ない高分子材料の現象をシミュレーションするときには結構便利なシミュレーターです。あるいはシミュレーションの結果とプロセスの効果を比較する応用分野にも便利なシミュレーターかもしれません。このような分野に難燃材料の配合設計があり、SUSHIを用いてシミュレーションを行います。SUSHIを用いなくとも、高分子材料のツボに書かれた内容だけでも手作業でシミュレーションできますから、SUSHIを使いこなさなければ、できないというわけではありませんが、唯一χの温度依存性だけはSUSHIが便利です。χだけでなく他のパラメーターも計算でき、参考になります。

 

高分子材料のツボセミナーでも説明していますが、SP値を使い、高分子や低分子の分散状態を予想することができます。高分子材料の難燃化では、炭化型であれば難燃剤の分散や溶融型であれば低分子あるいは溶融しやすい高分子の分散状態が影響しますのでこの予想は材料設計で有効に活用できます。特にポリマーアロイの難燃化では、SP値の寄与は大きく、リン系難燃剤の添加量で最大20%程度変化すこともあります。換言すればSUSHIで難燃剤で影響を受けるコストアップを20%減らすことができる、ということです。

 

ただし分散の問題はプロセスの影響を受けますので20%も成果が得られない場合もありますが、相溶の関係をうまく設計しますとこの影響も小さくできます。あるいは、カオス混合を用いますとシミュレーションの結果をうまく再現できる傾向が出てきます。このあたりは書きづらい部分もありますのでお気軽に高分子材料のツボセミナーや誰でもわかる高分子に書かれたアドレスに質問していただければお答えいたします。

 

弊社では本記事の内容やコンサルティング業務を含め、電子メールでのご相談を無料で承っております。

こちら(当サイトのお問い合わせ)からご連絡ください。

カテゴリー : 高分子

pagetop