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2016.09/12 研究テーマ(1)

先日研究論文を並べてSiCの反応機構を論じる先生を「終わっている研究者」と書いたことについて質問が来た。おそらく傲慢と誤解されたのかもしれないが、なぜ「終わっている研究者」と表現したのかその理由を述べる。
 
評論家の先生に反応速度論のペーパーでセカンドオーサーにされたこともあり、はっきり書くが、過去の論文についてただ解説するだけならば、研究者ではなく評論家である。すなわち研究の評論家は、研究者ではない。
 
研究者の能力として総説が書けることを重視しているアカデミアの先生がおられるが、総説が書けるのは当たり前で、そこから新たな研究の方向性を示し、従来にない斬新な研究テーマを企画立案できてこそ優秀な研究者なのだ。
 
大学の卒論研究では、大変優秀な先生に指導され、また周囲の先輩の学生も優秀だったので、優秀な研究者とはどのようなものか、さらにはSTAP細胞で問題になった研究者の倫理について自然と学べる環境だった。
 
「研究者の倫理」を自然に学べない環境は研究所としてレベルが低い。ましてや企業研究者が相談してきたデータで勝手に論文を出すようなアカデミアの研究者は最低である。このような研究者の指導では、社会で問題を起こす似非科学者を生み出すことになる。
 
さて、優秀な研究者とは、高い倫理観に基づき、社会に貢献しうる有益なテーマ設定ができる人のことである。公開された論文の評論をうまくする人のことではない。ましてや、研究データを科学知識に基づきうまくまとめる人でもない。
 
研究者の仕事として一番難しいのは、複雑怪奇な自然現象から人類に役立つ真理を導き出すような問題設定ができて、さらにそれら問題の集合体あるいは共通コンセプトをテーマとして設定する仕事である。
 
 
 
 
 

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