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2012.12/31 考える技術と探偵小説

論理学や問題解決法のような考える技術が商品として生かされ、大量販売された例として探偵小説があります。探偵小説の面白さは、謎解きと探偵が犯人と対峙した時のスリルにあります。探偵小説には固定客がいるようで、数百億円も本の販売が落ち込む中、大手書店の一角には、探偵小説のコーナーが必ずあります。

 

さて、謎解きだけであれば、探偵小説にはなりません。例えば、ポーの作品に「黄金虫」という物語がありますが、これは謎解き物語だそうです。探偵小説というのは、読者も探偵と一緒に謎解きをすることになるので、単なる謎解き物語とは異なるのだそうです。確かに「黄金虫」を子供の頃に読んだ時に、謎解きをしようとして読んでいません。謎が解かれてゆく面白さを楽しんだように思います。

 

探偵小説には、謎の提示から始まり、分析・調査を経て推理・問題解決そして犯人逮捕という流れがあり、読者は分析調査結果を探偵と共有化して犯人を推理してゆくわけです。このような一般的な探偵小説以外に倒叙探偵小説という分野があります。例えば「刑事コロンボ」がそのようなジャンルの物語です。最初に事件が提示され、読者に犯人まで知らされます。しかし探偵は事件を見ていないので、その後分析・調査なり行い問題解決に至る過程を読者は楽しむことになります。

 

単なる謎解き物語との違いは、探偵と犯人との交流場面で、ここで読者には探偵がどのようにせまるのかという推理が求められます。「刑事コロンボ」でも必ず犯人から直接事情聴取する場面が出てきます。「うちのかみさんがねー」というのは、コロンボが事情聴取の時に犯人に言うセリフの定型句の一つです。

 

この倒叙探偵小説は、「刑事コロンボ」が最初ではなく、1世紀以上前にアガサクリスティーなどが登場したころにオースティン・フリーマンが「歌う白骨」という倒叙探偵小説を発表しており、これが元祖らしいです。

カテゴリー : 一般

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