2016.10/18 基礎研究の効率的推進方法(3)
iPS細胞は、応用研究と基礎研究が同時並行で進められている大変良い研究モデルだと思う。山中博士のマネジメント能力はすばらしいと思う。
山中博士がノーベル賞を受賞されたときにその裏話をNHKの番組で語られているが、ヤマナカファクター発見についてノーベル賞受賞までその方法について語らなかったと言われた。
頭の良い研究者である。当方は高純度SiCの速度論的研究について初めて日本化学会の年会で発表したときに、K大の先生からリアクティブブレンドの条件をどのように研究したのか質問され、正直に試行錯誤で見つけた、と応えて、こてんぱんに言われた。
前駆体法の初めての発表であり、会場は廊下に人が溢れるほどの盛況で、笑い声さえあった。ゆえにこれ以後高純度SiCに関する学会発表は学位審査の対象期間になるまで控えた。アカデミアの厳しさと言えばそのとおりだが、そのような質問の仕方をしておいて、企業から学会発表が少なくなった、と一方でその先生が発言されていたので、思わず笑ってしまった。
山中先生は、ヤマナカファクターを見つけるのに消去法を使った、とは説明しにくかったのだろう。消去法は、試行錯誤と同様に科学的方法として認められていない。
しかし、山中先生はアカデミアの立場でありながら、躊躇無く非科学的方法で成果を出し、その後基礎研究を行うという効率的な研究推進方法をとられている。このことは見習うべきではないか。
11月に問題解決法も含め、このような点について講演会を行うので関心のある方は是非聞きに来ていただきたいが、効率よく成果を出すためには、非科学的方法でも成果がでればそれでよいと思っている。むしろ科学が高度に進んだ現代において、非科学的方法で発明や発見に取り組んだ方が新しい現象を見いだすことができると考えている。この理由についても11月の講演会(https://www.rdsc.co.jp/seminar/161116) で説明する(注)。
(注)すでに参加申し込みがきており、講演会の募集として出だしが早い。弊社へお申込みいただければ割引価格で参加できます。非科学的方法で科学的な成果を出した事例をいくつか紹介します。
カテゴリー : 一般
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