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2013.01/10 スマートグリッドと二次電池

スマートグリッドが提唱されてからすでに10年以上経過した。某ガス会社がオール電化の流れに危機感を持ち、各家庭でガス発電システムを構築するという提案を2000年ころ初めて聞いた。クローズドセミナーだったのであまり注目はされなかったが、燃料電池を使ったそのシステムは魅力的なアイデアだった。

 

各家庭に燃料電池を設置しガスラインに水素を混ぜるのだそうです。ガスはそのまま従来の都市ガス同様に使用できて、もし各家庭の発電量に余剰部分ができたならそれを工場に売電する構想までありました。もしこれが現在実現していたなら、原発0も夢ではなかった、と思われます。

 

当時の技術は、テレビで「エネ***」という商品名で販売されていますが、2000年ころ聞いた話とは少しシナリオが変わっているように見えます。ガス会社が発電事業に乗り出すためには、送電と発電の分離が必要、とも10年以上前の講演では申されていましたがまだ実現していません。

 

ガス会社のシナリオに登場したのは燃料電池でしたが、この電池は触媒燃焼するための白金が不可欠で、資源リスクの問題を抱えている電池です。燃料電池なので二次電池を使用しないシステムを構築できます。現在太陽光発電システムの普及が始まっていますが、このシステムには二次電池が必要です。

 

スマートグリッドは分散発電システムなので、必ず二次電池が必要になりますが、問題は安全性と価格です。昨年NaS電池の爆発事故があり一部で心配されましたが、基本的にエネルギーを貯めるデバイスなので万が一の事故があれば、爆発するのは当たり前です。家庭で使用している1.5Vの乾電池でも使い方を誤れば事故が起きます。原発に限らすエネルギーデバイスは100%安全という保障はできないのです。

 

それではスマートグリッドは社会インフラとして危険なのか、というと、自動車でも飛行機でもすでに危険と隣り合わせの道具を人類は生活の中に持ち込んでしまっています。すなわちどのような二次電池がスマートグリッドに適しているのか真剣に皆で考えなければいけません。危険を前提に生活へ取り込むわけですから、安全に運転できる二次電池システムをユーザーが考える時代ではないかと思います。過去のように、使いながら安全システムを完璧なものにしてゆく時代ではないように思います。すでに危険な道具を使い慣れたユーザーがどこまでの危険ならば許容できるのか、二次電池の危険に関するアセスメントを行う必要を感じています。

 

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カテゴリー : 電気/電子材料

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