2025.07/14 カオス混合装置
二軸混練機の先にこの装置を取り付けて混練を行うと、PPSと6ナイロン(6PA)のような非相溶系の組み合わせでも相溶したポリマーアロイが得られる。12PAでもPPSに相溶する。
この技術は、PPS/6PA/カーボンの配合のコンパウンドを国内トップメーカーから供給されて試作を行っていたが歩留まりが10%前後で実用化が心配された半導体無端ベルトの押出プロセスの改良技術として考案された。
2005年の夏に窓際だった当方が、この半導体無端ベルト開発リーダーから、リーダーを交代してほしいと依頼され、引き受けたときに開発した技術である。半年後には歩留まり70%以上にしなければ大赤字になる技術だった。
2010年に早期退職する予定だったので、引き受けたのだが、上司となるセンター長が肝の座った人で、歩留まりを100%にするからコンパウンド工場を建てたい、と申し出たら、ポンとお金を出してくれた。
ゴム会社で高純度SiC半導体事業に2億4千万円の先行投資を頂くためには、数10㎎の高純度SiCが必要だったが、コンパウンド工場建設のための投資は、シミュレーションによるグラフだけでOKだった。
中古の二軸混練機を購入し、その吐出口に箱を取り付け、PPS/6PAコンパウンドを製造したところPPSと6PAが相溶した透明な樹脂が出てきて、一緒に仕事をしていた若い技術者が腰を抜かしている。
彼は優秀な技術者で、ノーベル賞を受賞した高分子の大御所フローリー博士のフローリー・ハギンズ理論を熟知していた。ゆえに腰を抜かしたのである。
あまりにも簡単な装置でありながら、半導体無端ベルトの押出成形を歩留まり10%前後しか達成できないコンパウンドをこの新たなコンパウンド工場で処理を行うと100%の歩留まりを達成できるコンパウンドとなった。
二軸混練機に箱を取り付けただけで劇的な歩留まり向上で、翌年の4月には量産に成功しているのだが、配合成分を原料で投入して実用化したので、トップメーカーのコンパウンドは不要になった。
購買契約がどのようになっていたのか、前任者には聞いていないが、このトップメーカーと当方の最初の打ち合わせで、この弁当箱の技術を説明したのだが、素人は黙っとれ、と言われ、勝手にコンパウンド工場を建てて生産しろ、と言っていた。それがしっかりと議事録に残っている。
おそらく、半年後の量産を目指した工場建設など不可能と考えたのかもしれない。しかし、当方は無機材研で高純度SiCの低コスト技術を4日で完成し、億単位の投資を引き出している実績があったので、成功すると思ってトップメーカーの部長に話したのである。
これは実話である。詳細を知りたい方はお問い合わせください。データ駆動による新たなポリマーアロイ開発というDXの威力を実感できる話もサービスします。
カテゴリー : 一般
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