2016.11/08 くも入りフルーツ缶詰
11月15日に問題解決のセミナー( https://www.rdsc.co.jp/seminar/161116 )については弊社へお申し込み頂ければ割引価格で受講可能です。このセミナーの内容について少し紹介する。
山陽新聞デジタル11月5日版に表題の記事が載っていた。はごろもフーズ(静岡市清水区)が三重県桑名市の工場で2015年7月に製造し、岡山県倉敷市内のスーパーで販売したフルーツの缶詰にクモが入っていたらしいが、この事を公開しなかった。
お客様相談室に持ち込まれた事案らしいが、本来問題が起きたときに公開すべきである。食の安全安心が厳しく問われている時代にこのような企業姿勢では売り上げを落とす。もっともこのような問題ははごろもフーヅだけでなく、某パンメーカーではゴキブリの足が入っていても公開しなかったし、過去にこのような事例を調査したところ、ネット情報としてぞろぞろ出てきた。中国メーカーを批判できない。
いずれも、お客様相談室へ直接クレームしたがその後のフィードバックが悪く、お客様から新聞社等へ漏洩したものだった。このような問題は、直接保健所へ届けるに限る。当方も10年ほど前豊川へ単身赴任しているときに購入したパンからゴキブリの足が出てきた。大手ではあるが、ここではメーカー名はふせる。
すぐに菓子折りをもって担当者が飛んできて異物を見せてくれ、という。担当者の目の前でゴキブリの足を動かして見せて、明らかに虫の足だと説明しても、焦げたものかもしれません、調べてみますと言う。ゴキブリの足だと担当者が答えないので、保健所へ連絡しようとしたら、顕微鏡で見て必ずフィードバックする、と懇願された。
仕方がないのでゴキブリの足を担当者にわたし、返事を待った。翌日携帯電話に電話があり、顕微鏡で観察したところ焦げた破片でした、という。これは誤った問題解決方法である。保健所に確認してもそのパンメーカーから届け出はないという。
証拠品を渡してしまったのでそれ以上のことはできないが、これはコンプライアンス違反である。まだ50代であり、仕事で中間転写ベルトのボツ観察を肉眼でしていたぐらいだから眼鏡をかけてはいたが、眼力は確かであった。このパンメーカーでは、虫やほこりが入るのは不可抗力で、万が一お客様がそれを見つけたら、お客様に不快感を与えないようにするのが最善の策と考えていたのかもしれない。しかし、これはお客を馬鹿にしている解決方法だ。
これは、当時の担当者の対応からの想像になるが、恐らくパン生地の練り工程でゴキブリが侵入したのを発見し、取り除いた、しかし、ゴキブリの足が6本だったのか5本だったのか確かめなかった、そしてこの問題はゴキブリを取り除いて解決したと当日の日報にでも書いていたのだろう。ところが運悪く取り除いたゴキブリの足が一本パン生地に残されたままだった。それが当方の購入したパンに入っていたのだ。そこでパンは高温で焼くのでゴキブリの足程度ならば安全に問題ないので、何もなかったことにしようという問題解決を行ったのではないか。10年以上経ってもこれといった健康障害は出ていないので実害はないが、このような想像を改めてしてみると気持ち悪くてそのメーカーのパンを食べる気にならない。
企業における問題解決のシーンでは、単純に答えを出せばそれで終わりにならない場合があるので注意を要する。故ドラッカーは、企業のあるべき姿から問題を常にとらえる重要性を指摘していた。食品メーカーのあるべき姿は、安全安心のできる食品を顧客に提供することである。
お客様相談センターを使い、証拠を回収し隠蔽していたのでは、コンプライアンス違反に発展する。11月15日の問題解決セミナーは、従来行われていたようなQC手法やロジカルシンキングなどの単なる問題解決法の伝授ではない。企業人として仕事を進めるためにどのように正しい問題を捉え解決するのかについての勉強会でもある。アイデアをどのようにひねり出すのかも説明する。
カテゴリー : 一般
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