2013.01/15 ボーイング787のLi二次電池の事故
事故が相次ぐボーイング787ですが、Liイオン二次電池が発火するトラブルもあったそうです。ニュースで知って驚いたのは事故の事実よりも航空機にLiイオン二次電池が採用されていたこと。航空機には各種厳しい規格があり、その規格を通過できるLiイオン二次電池ができたことにびっくりしました。
エネルギー貯蔵デバイスは基本的に使用法を誤ると爆発する可能性があると言われています。エネルギー密度が高いLiイオン二次電池ならばその可能性が高くなるわけですが、航空機の規格を通過できる電池の登場は、経済性さえ改善されれば、一気に二次電池の市場がLiイオン二次電池に置き換わる可能性が出てきたわけです。
すなわちLiイオン二次電池の現在の一番の問題は経済性ということになります。Liイオン二次電池に関係する冗談で、材料メーカーの幹部が海外出張に行くときに、電解質メーカーの幹部はファーストクラスに乗るが、あとはエコノミークラスに乗る、というのがあります。これは電解質メーカーが一番儲かっていることを揶揄した冗談ですが、電解質の安全性と経済性は非水系電池で相反する関係になります。
30年ほど前にセミソリッド電解質を研究したことがありますが、溶媒で膨潤させたゲルを用いたとしても溶媒の蒸気圧はそれほど変化しません。全く溶媒を用いないときには電池の内部抵抗が高くなるので放電容量へ影響が出ます。イオン導電性を上げるためにどうしても可燃性低分子溶媒で膨潤させる必要がありました。最近は難燃性あるいは低蒸気圧のイオン性液体も登場しましたので30年前と異なる電解質の設計が可能となりました。安全性と経済性の高い電解質はLiイオン二次電池の重要なテーマの一つでしょう。
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