2017.01/21 高分子材料(12)
靱性の低い(脆い)高分子としてゼラチンがある。このゼラチンの脆さを改善するために柔らかいラテックスと複合化する技術が写真フィルムのバインダー技術として開発された。
面白いのはラテックスの種類により、脆さの改善具合が変わるのである。そこでゼラチンを保護コロイドに用いたゼラチンラテックスという材料まで開発された。この材料技術ではラテックスの組成の範囲が広がったので、複合化においてラテックスとゼラチンの界面の性質が重要であることがわかる。
ゼラチンとラテックスの複合化で問題になったのは、この両者の界面だけではなく、現像処理時にゼラチンが水で膨潤し弾性率低下が起き、ラテックスの柔らかさが傷のつきやすさと考えられたことだ。
この考え方が正しいかどうか知らないが、とにかくゼラチンを硬くしたいというニーズが生まれ、シリカゾルの添加という技術手段が考え出された。ところがシリカゾルを添加したところ、せっかくラテックスと複合化して高靱性化したゼラチンの靱性が下がってしまった。
その結果、ラテックスとシリカゾルの添加量のバランスをとりながら、硬くて脆くないゼラチンの開発が進められた。このような技術開発は、すぐに限界が見えてきて、シリカをコアにしてラテックスでシリカの周りを覆ったコアシェルラテックスをゼラチンに添加する技術が開発された。
カテゴリー : 高分子
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