2017.02/09 高分子材料(28)
高分子材料の分類として樹脂とゴムという分け方があるが、これは学術的な分類ではない。例えばこれをカタカナで書いてプラスチックとエラストマーと表現しても学術的ではなく、もし学術論文で樹脂を表現するならば、レジンを使用すべきである。
いつの時代から樹脂とゴム、あるいはプラスチックとエラストマーという分類ができたか知らないが、サイモンとガーファンクルの曲がふんだんに使用された映画「卒業」では、ダスティンホフマン演じるベンという若者に対して、叔父が「これからはプラスチックの時代だ」とアドバイスをしている。レジンの時代、と表現していない。
このことからプラスチックとエラストマーは業界用語としてつかわれてきたのだろうと映画を見ながら考えた。モラトリアムという言葉が生まれた時代の若者像を描いた映画で自分の人生に参考になるかと思い見たのだが、人生ではなく高分子の分類で悩むことになった。
当時販売されていた「工業材料」という月刊誌にたまたまプラスチックとエラストマーの分類について論文が載っており、そこには「Tgが室温以上のものをプラスチックと言い、室温以下の材料をエラストマーという」と説明されていた。
しかしこの説明によるとポリエチレンはエラストマーになるが、一般には樹脂と呼ばれている。面白いのはポリエチレンがエラストマーとして使用されることもあり、この用途では工業材料に書かれていた分類で問題が無い。
そもそも高分子材料は人類誕生とともに日常使用されてきたので、科学の歴史と比較できないくらい人類の生活に技術として浸透している。おいしいうどんは弾性も十分あり数回ならゴムのように伸び縮みし立派なエラストマーだが原料は樹脂である。その製造方法で弾性率が異なり、結果として味覚にも効いてくる。
カテゴリー : 高分子
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