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2017.04/02 高分子材料(57)

添加剤による可塑化効果について。例えば、樹脂を難燃化しようとリン酸エステル系難燃剤を用いると可塑化効果により弾性率低下が生じる。30年以上前の教科書には、ホスファゼンを用いると力学物性の低下を起こさず、樹脂の難燃化が可能、と書かれていた。

 

たまたま軟質ポリウレタン発泡体の難燃化を担当していたのでホスファゼンを添加したところ弾性率の低下起きず、LOIを21以上まで上げることができた。比較に用いたのはTCPPであるが、このリン酸エステルを用いたときには20%程度弾性率の低下が起きている。

 

教科書の内容が正しかったわけだが、このホスファゼンをジアミノ体に変性し、イソシアネートとプレポリマーを合成し軟質ポリウレタン発泡体を合成した。するとLOIを21以上になるまで添加すると10%ほど弾性率が低下した。

 

ホスファゼンは添加型で樹脂へ添加した場合には、教科書通りの結果になるが、反応型として添加すると他の難燃可塑剤と同様の傾向となる。但し、LOIを21以上とするために必要な添加量は、添加型の場合よりも10%程度少なくて良い。

 

粘弾性等の解析結果から、反応型として添加したときにウレアの凝集構造を壊している、と推定されたのでイソシアネートとのプレポリマーとして添加したことが失敗だった。しかし、TCPPと異なるのは同一LOIを得るのに弾性率の低下が少なく損失係数が向上する特徴があり、難燃クッション材としては好ましい結果であった。

 

樹脂の可塑剤の説明には可塑化による弾性率低下などの問題が取り上げられるが、予期せぬ物性の改善効果が現れる場合がある。これは可塑剤の分散状態あるいは可塑剤添加による樹脂の高次構造変化の影響で、可塑剤をスクリーニングするときには一通りの力学物性を評価しておくと良い。一通りの力学物性については問い合わせていただきたい。

カテゴリー : 高分子

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