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2025.09/02 教師の自腹深刻化

表題がニュースになっていたのだが、それほど深刻ではなかったのである。まず、常識的な結論を書くが、業務上必要なモノは、雇用主が支払うのが原則である。ゆえに教師が自腹を切って学校の備品を購入するのは、問題である。


しかし、業務上必要かどうかわからないものについて、試し買いをどうするのか、という問題が残る。これは緊急性が無ければ、教師間で募金を募り、購入したらよいのではないか。


50年近く前の実話を書く。パソコンが出始めたときに、「花王のOA、パソコン革命」という本がベストセラーとなった。タイトルが少し間違っているかもしれんが、このようなタイトルだった。


そこでゴム会社の研究所でOA員会というプロジェクトが立ち上がり、上司がOA委員長となり、当方は事務局に任命された。事務局長は当方を3か月指導してくださった方である。


会議で議論の末に、薬品管理をOA化しようとなった。理由は、半期に一度の棚卸や消防検査の時に1週間ほどかけて全所員が在庫確認する業務が発生し、この手間が省けるので効果が大きいからである。


ところが、システム開発のためのパソコン導入は、予算が無いからしないという。予算外で申請する方法もあるかと思い、見積もりを取ったところプリンターまで揃えると100万円を超えた。


ベストセラーの本には、16万円でできると書いてあったので、これが問題となり、とりあえずプログラムを開発してからパソコンを改めて検討しなさい、という極めてバカげた指示が出た。


プログラム開発用のパソコンが無かったら、システム開発などできないのである。そこで秋葉原に行き、改めて見積もりをとりなおし、ローンの書類まで作ってもらって上司と交渉したところ、80万円のローンの保証人の欄に上司が印を押し、「それほど必要なら君が購入しなさい」となった。


当時月給は手取りで10万円無かった時代である。事務局長は、半年後までプログラム開発などしなくてよい、と言ってくださったが、それではアウトプットも出ない、と答えたら、OA委員長の責任でしょう、となった。


しかし、次のOA委員会では委員長が独身寮にパソコン1セット入ったようなので、薬品管理システムの進捗報告を聞きたい、などと平然と述べている。


しかたなく、80万円のローンをしてパソコン1セット購入し、薬品管理システムを開発、無事研究所のOA化のアウトプットを出すことができた。ちなみに研究所には、ソードの2CPU構成のパソコン1セット150万円を購入している。


これは、自腹の深刻化を越えて、悲惨な思い出となった。DX黎明期の実話である。これがきっかけとなり、コンピューターサイエンスを独学で勉強することになった。


カローラDX1台分のマイコン1セットはその後10年実戦で活躍した。多変量解析のシステムを早くからこのマイコンシステムで稼働させていたからである。


16ビットPC9801が登場しても8ビットマイコンでしばらく仕事ができていた。業務にコンピュータを導入する、あるいは問題解決をコンピューターで行う習慣は、1年間遊ぶお金もなくなったローンのおかげで身についた。

カテゴリー : 一般

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