2025.10/25 ケミカルアタックの落とし穴
ケミカルアタックとは、樹脂に油が付着し、その油により樹脂にクレーズが発生、やがて破壊に至る現象である。60年以上前から知られている現象で、当方が小学校低学年の時に、今井模型の社長から頂いた手紙にも書かれていた。
さて、ケミカルアタックについて調べてみると、十分な解説がなされていないことに気がつく。この品質問題で難しいところは、トランスサイエンスとなる現象も存在する点である。
よくSP値との関係で説明されていたりするが、SP値がずれていても発生するときがある。例えば成形体のウェルドラインのところは起きやすい場所である。しかし、これがいつでも起きるといえないところが難しい。
それから、常に応力がかかり、クリープが進行している所でも起きやすい。低密度の部分でも起きやすい。注意しなければいけないのは、大物の射出成形体である。均一な密度でできていない時に起きる。
実験室で促進試験を行い、因子を探す実験を行ってみると分かるが、樹脂の種類が異なると発生の仕方も異なることに気がつく。大変悩ましい品質問題である。
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