2025.10/28 50年前と異なる社会(2)
社内のコンピューター部門は、社員からあこがれの部署だった。大型コンピューターが2台設置され、一台はPOS専用だった。同期に情報工学科一期生の卒業生がいたがコンピューター部門には配属されず生産管理部門に配属されていた。
また、経済学部を卒業してきた同期がコンピューター部門へ配属されるなど、戦略的な人材配置が行われていた。IBM3033の端末が各職場に、少なくとも1台配置され、従業員に解放されていた。
入社2年目ごろから、勤怠表や購買の発注業務がこの端末で行われるようになっていたので、コンピューターの活用という視点では、最先端の会社だった。
そのような会社でも基礎研究部門のコンピューターに対する無関心はひどかった。花王からOA化が8ビットのコンピューターでできる時代だ、というひどい啓蒙書が出たときに、この基礎研究部門でOA委員会が組織された。これは始末書騒動から約1年後のことだった。
基礎研究部門は雲の上の組織と社内で陰口がささやかれていたが、ゴム会社のOA化がどこまで進んでいるのかも分からず、花王のコンピューター部門が書いた本に飛びついたのである。
OA委員長は、1年ほど前に始末書を命じた上司で、社内のOA化がどの程度進んでいるのかもご存じなかった。ただ、花王のコンピューター部門が執筆した、8ビットコンピューターで漢字も出力出来て社内のOAの中心になる、という夢物語を信じていた。
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