2025.11/22 コミュニケーション能力
世界初の難燃化技術を開発せよ、と命じられて、ホスファゼン変性ポリウレタンフォームの企画を作成した。その時、プロトタイプとしてホスファゼン変性された自己消火性のポリウレタンフォームを合成し、説明している。
世間でいうところの係長職相当の人物と研究所で一番の美女と言われた指導社員と3人で、課長である主任研究員に説明している。
新入社員テーマ発表会のテーマでもあるので、当方が説明したところ、すぐに工場実験まで実施する話でその会議はまとまった。そのような決断を皆が納得しているので、技術を理解されたと思うのが自然の流れである。
しかし、特許の草案書きから始まり、技術に関係する仕事は、すべて当方に回ってきた。新入社員テーマだからそのような仕事が回ってくると思っていたが、始末書まで当方の責任として書くことになった。
この時、係長職の方から、当方のコミュニケーション能力を注意されている。大谷選手がワールドシリーズ終了後にカステンCEOへ、「あと8回だ」と語ったことがニュースになっている。昨年のWS終了時には「あと9回だ」と語ったそうだ。
当方が主任研究員へ企画を説明した時には、この大谷選手と似たような印象だったようだ。横で聞いていた指導社員はひやひやしていたという。
新入社員発表会までに工場試作を成功させて、その成果発表の場としたい、とまで当方は答えている。企画段階から5カ月以内に工場試作を行う意味が分かっているのか、と係長職の方から企画会議後言われている。
しかし、当方は主任研究員の方が承認されたからにはやり遂げる、と答えたのだが、今から思えば、この頃のコミュニケーション能力は、若さゆえに、言動のリスク管理など頭の中に無い。
しかし、工場試作は大成功して、主任研究員は、新入社員発表会の成果ではなく、グループの成果として役員の前で成果発表を行っている。その結果始末書となっており、真実は不明だが、おそらく企画から工場試作まであまりにも短期間であり、十分な研究ができていない、と評価された可能性が高い。
ただし、研究論文を数報まとめられるほどのデータは出ており、その後日本化学会から高分子学会まで、3回に分けて発表している。始末書となったテーマだから社外発表許可はすぐに出た。
「始末書になるぐらいのどうでもよい技術」として、社外発表許可願には書かれている。もちろんこのようなあからさまな言葉で書いていないが、婉曲に毎回表現を変えて提出していた。始末書でコミュニケーション能力の重要性に気づきがあった。
カテゴリー : 一般
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