2026.01/21 押出成形
外部からコンパウンドを購入し、数年開発が続けられてきたPPS半導体無端ベルトは、押出成形過程でカーボンの分散が変化し、すなわちパーコレーション転移が進行し、面内抵抗が1000倍以上乱れていた。
押出成形については、ゴム会社に入社したときの工場実習で、現場の職長からコンパウンドが未完成の場合に、押出成形で何とかしようとしても、何ともならない「行ってこい」の世界だ、と貴重なディープ・スマーツを伝授された。
押出成形では、形状を整える以外の加工は難しい、というのである。出来損ないのコンパウンドの場合は、形を整えて生産を継続することさえ難しい場合がある、と職長は説明していた。
ゆえに、PPS半導体無端ベルトが歩留まり10%以下なのは、コンパウンド技術が未完成という結論となる。しかし、当方はディープ・スマーツ以外に、膨大な過去の開発データを整理し、コンパウンド技術が未完成との結論を出したのである。
ビッグデータを解析するのに1週間以上かかった。単身赴任前の大変な作業の一つである。単身赴任前には、膨大なエクセルデータの整理以外に、Wパーコレーションのシミュレーションプログラムを作成し、コンパウンド技術のあるべき姿について結論を出していた。
過去の開発データの整理と問題解決できる技術について、ビッグデータでデータマイニングしたのである。2015年頃からマテリアルズインフォマティクスが日本で流行するが、その10年前に実践の場で成果を出していたのだ。
しかし、その成果は、世界の高分子技術分野でトップレベルと思われる技術部長にあっけなく非科学的と否定されただけでなく、そこから導かれる具体的アイデアさえも却下されたのだ。
ただし、非科学的成果から導かれた具体的アイデアは、3カ月後に立ち上がったカオス混合プラントで実現され、同一配合でも押出成形でPPS半導体無端ベルトを100%の歩留まりで生産可能としたのである。
高分子技術トップメーカーのコンパウンドは、科学的視点からは完璧なコンパウンドだったかもしれないが、それでは押出成形で使い物にならなかったのだ。ビッグデータから導かれた非科学的視点で設計されたコンパウンドが押出成形技術の正解コンパウンドとなったのである。
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