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2026.04/06 ベイズ最適化の落とし穴

ベイズ最適化の手法が普及し始めたのではないだろうか。雰囲気として90年代のタグチメソッド普及の時のような空気感がある。


ベイズ最適化は、配合設計のような組み合わせと量の最適化問題を解くときに便利である。数点の実験データから最適点の確率の高い条件を見つけ実験し、外れればそのデータをモデルに組み入れ再度計画を練ってゴールを見出すデータ駆動の方法である。


AIによる自動化も可能である。最初にモデルを組み立てる時に過去データを用いて行うこともできるので、従来のようにエクセルにデータを貯めていては不便な時がある。


可能ならば、実験データは一つのデータベースに保存した方が便利で、その点に着眼しFAIR原則が10年前に定められた。


データ駆動の時代にデータの再利用の重要性に気づき、環境が整備されつつある。この状況に着眼し、弊社では特許出願を行い、エクセルに代わる新しいデータ整理用のツールを開発した。


さて、弊社のソフトウェアーを使用すればデータ管理の方法も今の時代にふさわしくなるが、それでもベイズ最適化の方法には落とし穴が残ってくる。


実験を効率的に行う方法として、実験計画法が古くから使われてきた。そしてこの方法の問題を解決するためにタグチメソッド(TM)が登場している。残念ながらTMは日本で普及せず、アメリカでまず故田口先生は大成功を収める。


この時日本ではコンビナトリアルケミストリー(CS)が流行している。セレンディピティーなる言葉ももてはやされ、CS用の実験装置も開発された。


CSは、すべての条件を検討するので、特異点の存在を見落とさない。実験計画法やTMも対象としている系のモデリングには因子の水準の振り方を間違えなければ落とし穴に落ちない。


しかし、ベイズ最適化には、特異点が存在しない、という前提に注意しないといけない。ベイズ最適化は確かに効率が良いが、それは特異点が存在しないという条件においてである。


以前この欄にデータ駆動によりPETボトルのリサイクル樹脂を開発した話を書いている。この実験ではベイズ最適化を用いていない。PETに5種類の樹脂やゴムをカオス混合し、PETが主成分となるポリマーアロイを目標としたが、直交表を用いている。


すなわち、最初にL9を用いた9種類の配合実験を行い、ポリマーアロイの引張試験や曲げ試験におけるふるまいを観察整理している。この9種類の配合系の試験で延性脆性転移や、延性破壊をする高靭性のポリマーアロイを発見している。


オブジェクト指向におけるふるまいから考察すると、3種類のポリマーアロイができることになる。しかし、L9実験で得られた結果からはその規則性を示すデータは得られなかった。


そこで、次のL9実験ではちちんぷいぷいとおまじないをした配合系で検討したところ、高靭性高強度のポリマーアロイを開発でき、驚くべきことに老化防止剤等耐久性に関わる添加剤を添加していないにもかかわらず、15年間窓際においてもこの性質が失われていない。


このような、特異点の材料を見出すには、データ駆動の方法が便利であるが、その時にベイズ最適化が良いとは限らない。なぜ、80年代にセレンディピティーなる言葉が流行し、CSが生み出されたのか知っている人は、ベイズ最適化の問題点にすぐ気づくはずである。

カテゴリー : 一般

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