2017.06/14 アイデアをつぶす科学
科学的な理論が正しいのか間違っているのか、それを確認するのは、当方の仕事ではないし、社会的にその役割が与えられているわけでもない。ただそれでもこの活動報告でいろいろ書いているのは、科学の問題が実務で大きな影響を与えているからだ。
実務で議論するときに、少なくともビジネスプロセスでロジカルシンキングは常識である。技術の現場では科学で記述された事柄は常識として議論が進められる。そして、隘路にはまったときにせっかく良いアイデアが出たとしてもそれをつぶすのも科学である。
かわいそうにアイデアをうまく出せない、と悩んでいる人の原因の一つに子供の頃から学んだ科学の制約がある。科学は単なる哲学の一つに過ぎないのにそれが技術開発の全てであるように脅迫的に迫る上司もいたりする。
なかなかアイデアが出ないと言う人でも、空想を語らせると楽しそうに話す。しかし、その空想からアイデアをひねり出そうとしない。隘路にはまったら、最初に「考える」ことは科学を忘れることである。忘れることができないなら、科学の制約を外し、解決策を考えるのである。
高靱性ゼラチンを実現した、ゾルをミセルに用いたラテックス重合技術はこうして生まれている。そして技術ができあがってから、改めて現象の解析を科学的に行ったところ、簡単に解析が進み科学的に技術をまとめることができた。この技術は写真学会からゼラチン賞を受賞している。
カテゴリー : 一般
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