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2017.07/10 アイデアを出す一つのコツ(2)

開発テーマが暗礁に乗り上げ、それが自然現象に関わる問題の時、何故か科学的思考を働かせようと前向きの推論を展開する人が多い。この前向きの推論のどこが問題なのか。問題はいろいろあるが、一番大きな問題は、思考が発散する問題である。仮に結論を明確にして前向きに推論を展開したとしても多くの推論の可能性を考えることになる。

 

これが逆向きの推論になると結論に直結する推論だけを考えることになる。仮に結論に直結する現象がいくつかあったとしても、結論に直結する現象について、それぞれを結論として捉え、それに直結する現象を考えたりして展開してゆくと、どこかで最も良い道筋一つが見えてくる。

 

前向きの推論と逆向きの推論の最も大きな違いは、この最も良い一つの道筋を素早く見つけられるかどうかである。日々の自分の思考がもし前向きの推論で行われてきたとしたら、その過去に事例について逆向きに考えてみるとよい。一筋の道を面白いほど見通せることに気がつくはずだ。

 

この逆向きの推論を行うときに問題となるのは目の前の現象について結論となる部分の表現方法である。すなわち「答え」を考えなければいけいない。都合がよいことに目標管理で決められた目標はその答えになる。面白いのは目標管理で明示したゴールから目の前の現象を眺めたときに、科学的には重要に見えていた現象が、取るに足らない現象に見えたりすることである。

 

そのような現象では今真剣に悩む必要はなく開発が終わってからゆっくり悩めばよい。そうすると不思議なことにアイデアが湧いてくる。なぜなら商品開発の過程で気になっている現象を注意深く見るようになるからである。理解はできていないが商品がうまく完成したときに改めて難解な現象を眺めると、不思議と解がわかりそうに思えてくる。この「わかりそうに」という部分が大切で、そのように感じたとき新たなアイデアが浮かぶ。開発を終えてから研究を行うとよい理由である。

 

答えが見えない問題ほど難しい問題はない。しかし、難解な現象に始めて遭遇したときにアイデアが無くて解決できなくても商品の中でその現象を眺めているとそこはかとなくうっすらと見えてくるものがある。そこで改めて答えを考えてみると不思議なことにうまく答えを設定できる。

 

科学では、答えを推論で求めなければいけないが、技術では機能がロバストの高い状態で動作していることなので、答えをあらかじめ決めることができる。答えを決めて問題を解くというと違和感を感じるかもしれないが、答えが分かった問題は必ず解があるという安心感を持てる。この安心感はアイデアを出すために重要である。

カテゴリー : 一般

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