2017.08/02 PPSとPET(1)
写真会社の思い出の一つに、PPSとPETというプロセシングの視点で見つめると性質が大きく異なる樹脂を同時に比較しながら扱った仕事がある。
写真会社では、転職後10年近くPETの成膜とその表面加工を担当していたので、押出成形についてはそれなりに理解しているつもりだった。
しかし、定年直前に担当したPPSの押出成形では、成形温度の違いという単純な問題以外に、プロセスにおけるコンパウンディング技術が成形体の結晶化挙動を制御している重要性に気がついた。
そこで、PET樹脂についてこの視点から改めて見直すために、PPSの押出成形を完成させて製品展開をしていた時に、リサイクルPET樹脂を用いた環境対応射出成形体の開発を企画した。
この時、プロセシングの視点で改めてPETを見直した結果、高分子成形体のプロセシング依存性に潜む「味」を楽しむことができた。
もちろん前任者が当方を頼ってくれた仕事であることと、純粋にPPSという新しい研究テーマを担当できた楽しさもある。
さらに、依頼されたときに現場を見学して、およそ製品化を成功させることなど難しいと思えるぐらいの難易度だったことも、このうれしさと関係している。
しかし、PPSの押出成形がPETと似ているにもかかわらず、できあがりのPPS成形体がPETと著しく異なる挙動を現場で発見した。
カテゴリー : 高分子
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