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2017.08/06 PPSとPET(5)

PETは結晶化速度が遅いので、そのままで射出成型が難しい樹脂である。ゆえに押出成形やブロー成型用樹脂として多く使用されてきた。PETを射出成型して良好な成形体を製造するためには、結晶化を促進する添加剤(核剤)を用いる。

 

核剤を添加したPETは結晶化速度が速くなるので、射出成型が容易になるが、それでもPCのように表面が良好な成形体を得るためには、特定の狭い領域の成形条件を選択することになる。

 

スパイラルフローなどを用いて成形条件を求めても、外観が良好な大物の射出成型はそれなりの工夫が必要になる。すなわち核剤を用いても金型内を流動している間に結晶化速度がばらつき、表面状態がきれいにならないのだ。

 

このPETにカオス混合を用いてある高分子を相溶させると結晶化度が少し下がるが、表面が良好な成形体が得られるようになる。しかも射出成型のOWも広くなり、PCと比較してもそん色のない成形性を示す。

 

すなわちポリマーアロイとして変性すると結晶化速度が変わるだけでなく、レオロジー特性も変化する。結晶化を促進する核剤の添加では溶融結晶化温度で急激に結晶化が起きるが、ポリマーアロイにすると溶融結晶化温度は大きく変化せず、結晶化速度はPETよりもほどよく加速され射出成型しやすいレオロジーカーブを描くようになる。

 

 

カテゴリー : 高分子

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