2017.08/27 技術開発の方法(5)
電気粘性流体の増粘問題では、配合剤の入っていないゴムを開発するというとんでもない結論が出され、それを手伝わなくてはいけない状況になった。
微粒子がオイルに分散して機能する電気粘性流体に、ゴムの配合剤がオイルに抽出されて増粘し機能を失った現象は、界面活性剤以外に解決策は無い。これを界面活性剤では科学的に解けない、と否定証明を完璧に行ってみても問題解決につながらない。
新製品に新しい機能を技術で創りこもうとしたときに、仮に科学で否定されるような現象が起きたとしても、技術者は新しい機能の技術を工夫して創りだすのが使命である。ここで科学を重視し完璧な否定証明を行い、その結果に満足して論文を書くようでは技術者と言えない。
もし企業で否定証明を行ったなら技術の代替案を出さなければ周囲から非難されるが、その時に技術の視点で非常識に見える代替案を「世の中にない新技術でチャレンジ」というフレーズでごまかしてはいけない。
配合剤が全く入っていない実用的なゴムができれば、それは材料科学の視点ですばらしいことだが、画期的発明と言われたTPEでも酸化防止剤あるいは熱劣化防止剤は混練時に必須である。
本題に戻るが、電気粘性流体の増粘の問題は、仮に科学的に界面活性剤で問題解決できない、という結論が出たとしても、界面活性剤で技術を創り出さなければいけない。なぜなら、界面活性剤を扱ったことのある技術者ならば、界面活性剤以外の方法では問題解決できない、と経験知から結論を出す。
カテゴリー : 一般
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